教えるコツ|研修500社以上の講師が実践する「受講者を読む」技術
「ちゃんと説明したのに、なぜか伝わらない」
「教えることって、こんなに難しかったっけ?」
この記事では、教えるコツの本質を解説します。元事務員から独立し、東京都の講座に4年連続登壇・Udemy受講生2万人超の現役講師・高木優(ゆうさん。)が、500社以上向けの登壇で理解したことです。
この記事でわかること
・教えることが難しい本当の理由
・教え上手な講師が「最初に必ずやっていること」
・受講者を読む3つの視点と、すぐ使える具体的な方法
教えるのが難しいのは、当たり前です
「教えるのって、どうしてこんなに大変なんだろう」と感じているなら、まずは知ってください。
うまく教えられないのは、「教えるための手順」が少し複雑なだけなんです。
正直に言えば、教えることは、プロの講師でも毎回フル回転で取り組むほど奥が深いものです。
「え、そんなに大変なことなんですか?」と思いますよね。その通りです。
相手がどう感じているか読み取って、伝え方を考えて、反応を見ながらその場で調整する。この3つを同時にこなすのですから、難しいと感じるのは当然のことなんです。
だから、「うまく教えられない」と悩んでいるあなたは、それだけ相手に真剣に向き合おうとしています。自分を責めなくて大丈夫です。
問題は、難しいかどうかではありません。「教えるための手順」の、どこでつまずいているかです。
伝わらない原因は「話し方」じゃない
教えることがうまくいかないとき、多くの人は「もっとわかりやすく話せれば」「スライドを改善すれば」と考えます。
でも実際には、それ以前の問題であることがほとんどです。
たとえば、こういうことが起きていませんか?
・相手がすでに知っていることを延々と説明している
・相手がまだ理解できない段階の話を先走りしている
・相手が「聞く気になっていない状態」なのに、話し続けている
これ、全部「相手の状況を読めていない」から起きています。
話し方や資料の問題ではなく、「誰に、何を、いつ話すか」のズレが「伝わらない」の正体です。
教えるコツは、たった1つです
500社以上の研修を経て、私が理解したこと。
教えるときに最初にやるべきことは、受講者の状況を知ること。これだけです。
「ゴールを先に伝えた方がいいですか?」「最初に笑いを取った方がいいですか?」とよく聞かれます。答えは毎回、「その人・その場によります」です。
ゴールを先に伝えると動ける人もいれば、まず共感から入らないと耳を貸さない人もいる。笑いが場を和ませる場合もあれば、逆に距離感を感じさせる場合もある。
何が正解かは、相手の状況を読んで初めてわかります。
だから伝え方のテクニックより先に、「この人は今どんな状態か」を知ることが、全てのコツの出発点になるんです。
受講者を読む3つの視点
では具体的に、何を読めばいいのか。現場で意識している3点です。
① 何を知っているか(知識レベル)
同じテーマの研修でも、ほぼ初耳の人と実践経験がある人では、同じ説明をしても機能しません。
知識のベースラインを把握せずに話し始めると、基礎すぎて退屈させるか、難しすぎてついてこれないか、どちらかになります。
② どんな状態で来ているか(モチベーション)
「自分で学びに来た人」と「会社に来いと言われた人」では、場への入り方がまるで違います。後者はまず「なぜ聞くべきか」を腑に落とさないと、話が耳に入ってきません。
「緊張している」「直前まで忙しかった」「眠い時間帯に設定されている」これらの状況も、場の空気として読む必要があります。
③ この時間で何を得たいか(ゴール)
「なんとなく参加した」人と「明日から使いたいことがある」人では、求めているものがまったく違います。
「この時間から何を持ち帰りたいか」を押さえることで、話す内容の優先順位が決まります。
実際にどうやって「読む」か
「読むって言っても、どうすれば?」という声が聞こえてきそうなので、現場で使っている方法をお伝えします。
事前アンケート
「現在の課題」「経験年数」「この講座に期待すること」3問の事前アンケートだけでも、場の設計がガラッと変わります。私は全員の回答を見てからスライドを調整しています。
最初の5分の問いかけ
開始直後に「今日ここに来た理由を一言で教えてください」「この分野に触れたことがある方は挙手してください」と投げかけるだけで、場の温度感・レベル感・モチベーションが一気に見えてきます。
話しながら表情を読み続ける
うなずきが少なくなったら難易度を下げる、表情が固ければ事例を増やす。微調整をリアルタイムで行います。事前に読む・冒頭で読む・話しながら読む。この3段階が重なって、「伝わる場」になります。
会社員時代、後輩指導でボロボロでした
私は、今でこそ研修講師を続けていますが、「教えること」に最初から自信があったわけでは全くありません。
会社員時代、7年目で初めて指導役を任されたとき、相手は社内でも有名な「問題児」と呼ばれる後輩でした。遅刻しても連絡なし、理由を聞いても無言。最初は、どう対応すればいいかまったくわからなかったです。
ある時気づいたんです。「自分の常識が通じていない」と。
「遅刻するなら連絡するのが当たり前」と思っていたけれど、その後輩にはそもそもその常識が共有されていなかった。つまり、お互いの「当たり前」がまったく違っていたんです。
そこから変えたのは、相手ではなく「自分の伝え方」でした。
・感情を排除して、事実だけを伝える
・相手の立場を労う言葉を最初に入れる
・「なぜそうしてほしいのか」を自分の言葉で伝える
・「何をしてほしいのか」を行動レベルで明確にする
この4段階を意識して接し続けたら、後輩の行動が少しずつ変わっていきました。後輩が変わったとき、周囲の評価も変わって。上司から声をかけてもらい、社内で努力賞をいただくことができました。
このときの経験が、「教えることの本質は相手を読むことだ」と確信できたのです。
まとめ:教えるコツは「受講者を読む」一点に尽きる
教えるコツはたくさんあるように見えて、根っこは1つです。
相手の状況を知ってから、伝え方を決める。
・何を知っているか
・どんな状態で来ているか
・この時間で何を得たいか
この3点を押さえることで、話し方・構成・テンポ・例え話が自然と決まります。テクニックを積み上げる前に、まずここから始めてみてください。
「自分は相手の状況をちゃんと確認できていたか?」と問い直すだけで、教え方の景色が変わるはずです。
あなたが一番「読めていなかった」と気づいた視点は、どれでしたか?
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プロフィール
高木優(ゆうさん。)|元会社員(事務員)から独立した現役講師。東京都の講座に4年連続登壇、Udemy受講生2万人超。500社以上・行政機関への研修実績あり。