講師なのに緊張する私が、150社向け講座で分かった本番でペースを乱さない3つの方法
私は行政の委託事業として、150社規模の企業担当者に向けたオンライン講座を、4年連続担当してきました。
半年にわたり、月1回×6回構成の講座を継続して行います。
こうした大規模・オンライン・反応が見えにくい環境で登壇してきた中で、私はひとつ、はっきり分かったことがあります。
それは——
講師であっても、緊張はなくならないということ。
実際、私自身も本番前は緊張します。
本番直前は心臓の音がバクバク言って、声が出なくなるのでは?と焦りますし、声のペースが早くなりそうになったり、次に話す内容を一瞬見失いそうになったりすることもあります。
この記事では、緊張しやすい講師である私が、150社向け講座の現場で実践してきた「本番でもペースを保つための考え方と準備」をまとめています。
緊張しない講師を目指す必要はありません。
緊張しても、講座が崩れない講師。
そのために必要な視点を、ここからお伝えします。
なぜ講師は緊張して本番でペースを乱すのか
講師が本番でペースを乱すのは、話し方が下手だからでも、経験が足りないからでもありません。
緊張=能力不足と考えてしまいがちですが、これはまったく別の話です。
実際、私自身も緊張します。
150社規模の企業向け講座ともなると、なおさらです。
それでも私の経験から、講座が崩れにくくなったのは、「緊張しない」ことを諦めたからでした。
ペースが崩れる瞬間は、とても分かりやすい。
それは、頭の中で「うまく話さなければいけない」と考え始めたときです。
この瞬間、意識は一気に内側へ向かいます。
声のスピードが上がり、言葉が詰まり、間が怖くなる。
結果として、ペースが乱れていきます。
特に、大規模・オンライン講座では立て直しが難しい。
反応が見えず、うなずきや表情も拾えないため、
「今、ちゃんと伝わっているのか?」という不安が加速します。
「相手のことを考えれば緊張しない」と言われたこともありますが、本番の緊張状態で“相手に意識を向け続ける”のは、現実的ではありません。
だからこそ重要なのは、“その場で頑張る”のではなく、事前に設計しておくこと。
本番で考えなくていい状態を作る。
これができるかどうかで、ペースの安定度は大きく変わります。
よくある「緊張対策」が効かない理由
よくある緊張対策として、こんなアドバイスを聞いたことがあるかもしれません。
・相手のことを考えよう
本当に大切な話です。
ただ、私がやっている150社規模のオンライン講座は、お客さんの顔がいっさい見えていない状態で90分の講座を進行させます。
顔が見えていない状況ですと、そもそも相手のことを考えるのが難しい。
「相手のことを考える」だけでは足りないと感じることも多かったのです。
・想定外の質問が来たとき
・反応が極端に薄いとき
・時間が押し始めたとき
こうした瞬間に、ペースが一気に乱れることがあります。
緊張している状態では、思考の余白がほとんどありません。
「ちゃんと伝わっているかな?」
「今の説明、長すぎたかも?」
と、別の不安が次々に湧いてきます。
きっと慣れれば大丈夫なのでしょう。
ただし、慣れるまでが本当に大変ですよね。
だから私が意識するようになったのは、緊張したときに頑張ることではありません。
緊張しても考えなくていい状態を、事前に作っておくことでした。
私が150社向け講座で必ず決めている3つのこと
私が150社向け講座で必ず決めていることは、たった3つです。
特別な話し方やメンタルコントロールではありません。
本番で考えなくていい状態を作るための準備だけをしています。
1)冒頭30秒は、暗唱できるレベルまで仕上げる
冒頭は、毎回何度も何度も練習します。
言葉を思い出す必要がない状態まで落とし込みます。
理由はシンプルで、最初の30秒で、ペースが決まるから。
自己紹介、今日のテーマ、ゴール。
これらの流れが口から自然に出るだけで、声のトーン、スピード、呼吸が一気に安定します。
緊張を消すためではありません。
緊張していても、最初の一呼吸を整えるためです。
2)講座全体を、時間ブロックで区切っておくこと
150社規模の講座では、5〜10分ごとに「ここまで」という区切りを作っています。
もう少し小規模の講座は、15〜30分くらいで大きく区切ります。
各ブロックで決めているのは、細かい話す内容ではなく、「この時間帯は何を扱うか」だけ。
これを決めておくと、今どこにいるのか、前半なのか後半なのか、一瞬で把握できます。
全体の流れが見えている状態は、それだけで大きな安心になります。
3)言い直しフレーズを、事前に決めておくこと
本番では、どれだけ練習していても言葉に詰まる場面があります。
言葉が出てこない、説明が長くなった気がする、反応が読めない。
そのときに考えないために、私は「言い直すときの言葉」を先に決めています。
たとえば、
「少し整理しますね」
「ここ、一度まとめます」
「今の話を一言で言うと…」
こうしたフレーズです。
ポイントは、うまく話すためではなく、立て直すための合図として使うこと。
フレーズをいくつか決めておくだけで、ペースが崩れそうになった瞬間に戻れます。
この3つに共通しているのは、本番で頑張るための工夫ではなく、本番で考えなくていい状態を作る工夫だということ。
緊張しない講師になる必要はありません。
緊張しても、講座が崩れない設計をしておく。
これだけで、ペースは驚くほど安定します。
緊張しやすい講師ほど、実は向いている
実は、緊張しやすい人ほど、講師に向いています。
意外に聞こえるかもしれませんが、150社規模の講座を担当する中で、私は何度もそう感じてきました。
緊張しやすい人は、
「ちゃんと伝わっているだろうか」
「分かりにくくなっていないだろうか」
と、自然と聞き手のことを考えています。
聞き手のことを考えられる人は、講師としてとても大きな強みです。
逆に、まったく緊張しない人は、自分のペースだけで話してしまい、一方通行になっているけど気づけないことも多いですよね。
緊張するということは、いい加減にやっていない証拠でもあります。
ただし、毎回全力で気を張っていては、講座を続けることがしんどくなります。
だからこそ必要なのが、緊張を消すのではなく、緊張をコントロールできる状態にすること。
まとめ|講師の緊張は消さなくていい、ペースは整えられる
講師が本番で緊張するのは、特別なことではありません。
経験を重ねても、場が大きくなっても、緊張はします。
だからこそ本日お伝えした、
- 冒頭30秒を暗唱レベルまで仕上げる
- 講座全体を時間ブロックで把握する
- 言い直しフレーズを決めておく
という、シンプルな準備だけをしていきましょう。
どうしようと本番で悩んでしまう前に、まずは「考えなくていい状態」を作ること。
それだけで、本番の安定感は大きく変わります。
緊張しない講師を目指す必要はありません。
緊張しても、ペースを保てる講師になればいいのです。
そのほうが、長く続きますし、聞き手からの信頼も、自然と積み上がっていきますよ。